人口密度が高い首都圏で、住む場所を探すのは大変な作業です。かつては外国人が家を借りるのが難しい物件も多かったのですが、だいぶ改善されてきました。日本で家を探すに当たって、知っておくと役に立つ知識や、選ぶときのポイントをまとめてみました。実際に足を運びながら、住みやすい環境を見つけましょう。
日本では契約する際に初期費用が発生
日本で家を探す前に知っておくべきことは、契約する際に初期費用がかかる点です。初期費用として家賃の5~6か月分ぐらいの資金を用意する必要があります。なぜ初期費用が大きいのかというと、家賃のほかに、敷金、礼金、仲介手数料などがかかるからです。
敷金は、部屋に傷がついてしまったときなど、原状回復のための準備金のようなもの。家を出るときに、傷などがなければそのまま返金されます。一方、礼金は家の持主である大家さんに支払われるもので、退去時に返却されることはありません。敷金も礼金も、通常家賃の1か月~2か月分かかります。
賃貸で多いのは、アパート、マンションといった集合住宅です。アパートは、木造建築またはプレハブ建築で、通常は2階~3階建ての集合住宅です。台所やトイレは、共同または専用です。風呂はないアパートもあります。トイレと風呂が一緒になっている、あるいは別々のタイプと両方あり、別々のタイプのほうが高いです。
マンションは鉄筋コンクリート造りで、通常は3階建て以上の集合住宅です。部屋のほかに台所、トイレ、風呂があり、高層階に行くほど、家賃が高くなることが多いです。家具が付いていないことが多く、照明器具やカーテン、敷物、調理用ガスなども、自分でそろえることになります。
手続きで必要なのは?
契約するとき、日本人の連帯保証人を求められます。これは日本人が住宅を借りる場合にも同じです。家賃の滞納など、支払いが滞ったとき、代わりに支払い義務を負う人になります。
不動産屋で部屋を探すときには、細かい条件の確認や交渉もすることがあります。日本語の上手な人、日本人の友人や身元保証人を連れていくとよい結果を得られるでしょう。
不動産屋との上手なつきあい方
あらかじめ、インターネットや住みたいエリアの不動産屋の広告などをチェックしておいて、予算や条件のイメージをつかんでおくといいでしょう。不動産屋に希望条件を伝え、いくつか紹介を受け、気に入った物件があれば、現地に案内してもらって実際に部屋を見ます。インターネットの写真だけで契約しないようにしましょう。
見て気に入らなければ、断ってしまって大丈夫です。案内料は無料です。「もう少し日当たりがいい場所がいい」など、納得がいくまで見せてもらいましょう。気に入ったけれど1~2日考えたい、友達に相談したい、という場合には、そのことを不動産屋に伝えて下さい。
人気物件の場合など、手付け金を支払ってくださいと言われることもあります。手付け金を支払えばその宿舎を借りる優先権を持つことになります。そこに入居すれば、手付け金はそのまま敷金・礼金の一部になりますが、入居しない場合は返却されないことが多いので、よく確認した上で支払うようにしましょう。
細かいチェックポイントも確認する
不動産屋を通じて家を探すとき、家賃・場所・日当たりなどの条件のみならず、細かいポイントも確認したほうがよいでしょう。1ヵ月の家賃とは別に、管理費や共益費があるか。電車やバスなど交通の便、駅からの距離、近所に商店街・スーパー・コンビニがあるかもチェックポイントになります。
日当たりの良さは時間によっても異なるので、よく観察しましょう。どんな暖房器具を使えるか、エアコンはついているかも確認しておいて下さい。火災防止のために、ガス・石油ストーブの使用を禁止しているアパートもあります。
隣近所の騒音がひどい場所もあります。昼だけでなく、夜も候補の場所を訪れたり、近隣住民の意見を聞いたりできれば、さらに参考になるでしょう。
契約する前に確認すること
契約書に書いてある法律用語は理解しにくいものです。しかし契約書は、署名・捺印すれば法律的に有効になります。あらかじめ、内容をよく理解してから署名・捺印するようにしましょう。分からない点は日本語がよくわかる人に確認して下さい。
賃貸契約期間は基本的に2年です。契約書に記入されている契約の更新の時期や更新費用についても、よく読んでおいて下さい。
友人を同居させてはいけない
気を付けなければいけないのは、家主に無断で家族や友人を同居させたり、部屋を他人に貸したりしてはいけないということです。日本の民間宿舎では、契約した人以外の人は住むことができません。これは諸外国と異なる、日本の社会習慣の一つです。もし二人で住みたい場合は、最初からそのことを不動産屋(大家)に言っておく必要があります。
もし、親類の人や友人を宿泊させる時には、たとえ短い期間でも必ず事前に大家に事情を話して了解を得るようにしましょう。外国人をめぐる家のトラブルで、最も多いのが、この「貸した人以外の人が住んでいる」というケースです。
部屋は無断で改造しない
家主に断らずに、借りた部屋の内部を勝手に改造することはできません。不便な点を変えたいときには必ず家主と相談するようにしましょう。
引越しをする時の通告期限も契約書で決められているので、確認しておきましょう。通常は1カ月前までに家主に伝えることになっています。急に通告して退去した場合、退去後住んでいなくても、1カ月分の家賃を支払わなければなりません。
原則として、部屋は入居時と同じ状態にして家主に明け渡すのが原則です。不要品は決められた方法で捨てましょう。不要品やごみを置いたままで引越しすると、家主に迷惑をかけることになります。また、電気、ガス、水道などの光熱費や固定電話の清算は、各社に連絡をして停止の手続きを取りましょう。
まとめ
日本の大学に語学留学生として来日するなら大学側が格安の物件を紹介してくれることもあります。東京都には外国人がたくさん住んでいる地域もあるので、外国人(ベトナム人)にも理解してくれる人はたくさんいます。
家を借りるうえで、初期費用や条件交渉など、大変な部分もありますが、ぜひ周りの人たちの意見も参考にしながら、納得のいく物件に出会えるまで、あきらめないで探しましょう。