日本に住むなら、融通の利く交通手段である自転車は、とても便利なのでおすすめです。混雑した電車に乗らずに済みますし、行動範囲も大きく広がるでしょう。ただし、気をつけなければいけないこともあります。
たとえば、道に放置してある自転車を親切なつもりで移動しただけで、「自転車泥棒」と受け止められることもあります。自転車に乗る人も、乗らない人も、路上に放置してある自転車をどう扱うのか、そして、自転車を入手したときの防犯登録の方法について、知っておきましょう。
放置している自転車を見つけたら

日本に来ると、東京都内の駅前や道路の角などで、まだ十分使える自転車が何日もそのまま置かれている光景をよく見かけることでしょう。これらの自転車は「路上放置自転車」と呼ばれています。こうした置きっぱなしの路上放置自転車をどうするか。それぞれの地域を管理する役所が、対策に頭を悩ませています。
なぜ、こうした路上放置自転車が多いのでしょうか。東京都や大阪府に住んでいる人の多くが、自転車を利用しています。電車やタクシーと比べると、お金もかかりませんし、自転車をこぐと運動になり、健康的だからです。ところが、利用者が多いにもかかわらず、東京都内に無料の自転車置き場は少なく、有料の駐輪場もすぐに混雑してしまいます。駐輪スペースがなくなってしまい、結果として、道路の角などに無断で駐輪してしまう人が多く見受けられます。
たとえば、見るからに長い期間、放置されているように見える自転車があったとしましょう。タイヤがパンクしてしまって、修理しないと乗ることもできない。そうした自転車を拾って、自分で修理して使ってもダメです。たとえ自転車がボロボロに壊れていても、それを持ち帰ることは「占有離脱物横領罪」や「窃盗罪」など、犯罪として処罰されてしまいます。
たとえゴミ捨て場の自転車でも
日本では、自転車は盗難防止のため、一台一台、すべて登録されています。ですから、警察官が調べると、拾った自転車であることがすぐ分かってしまいます。もし、まだ使えそうな自転車がごみ置き場にあったとしても、やはり、それらの自転車を拾って使ってはいけません。登録を解除しない限り、その自転車は登録した本人のモノです。
さらに、あなたが誰かから「自転車を譲ってあげる」と言われたとしましょう。これも、注意が必要です。もしその自転車が盗難にあったものだったら、あなたが罪に問われることになります。また、もし自転車を所有していた友人のモノだったら、購入先の自転車屋さんで登録を解除してもらう手続きが必要になります。
極端な例をいえば、「この自転車はここに置いてあって邪魔だな」と思ったときに、あなたが親切に、自転車を運転してそれを安全な場所に移したとしても、「自転車泥棒」の疑いがかけられることがあります。もし、放置自転車を動かしたいときは、警察や近所の人などに伝えて、動かしてもらうのがいいでしょう。
自転車を入手したら必ずすること
日本で自転車を購入したら、まず防犯登録をしましょう。自転車を買った場所で、店員さんが防犯登録をしてくれます。防犯登録用紙に氏名、住所、連絡先を書けば、登録の手続きが完了します。
もし、知り合いなどから、自転車を譲りうける場合は、必ず登録の変更をしましょう。まず、その自転車に防犯登録がしてあるかどうか、確認する必要があります。確かめるには、近くの交番や警察署で調べることができます。
すでに登録済みなら、登録した人に譲渡証明書を書いてもらい、登録先の警察署で、在留カードとあわせて防犯登録の変更をしてください。その警察署が遠い場合は、近くの警察署でおこなえるかどうか確認してください。
防犯登録をした際、発行されたシールは自転車に貼り付け、書類は手元に保管しておくようにしましょう。
駐輪するときに気を付けること
駅前の商店街など、駐輪スペース以外の場所に自転車を置いてしまうと、「放置自転車」として撤去されることもあります。撤去された自転車は、保管期間を過ぎると処分されてしまいます。
撤去された自転車を返してもらうためには、指定された場所に出頭し、手数料を支払わなければなりません。手数料は5000円ほどかかってしまいます。自転車を撤去されないように、必ず自転車置き場など、決められた場所に駐輪するようにしましょう。
まとめ
以上のルールさえ守れば、自転車は大変便利な交通手段になります。道路を走るときはもちろん、駐輪するときもしっかりと気を配りましょう。そして、どのような状態で放置されている自転車も「ほかの人の所有物」という意識で、むやみに手を触れないようにすることを忘れないようにしましょう。