公的医療保険と医療費
世界の中でも、日本人はよく医者にかかる国民だと言われています。
そこからわかるように、1人1人が病院で負担する医療費の額は、べらぼうに高いわけではありません。
その理由は、日本では公的な保険に加入することが義務付けられていることにあります。
かかった医療費の7割は国で負担してくれるからです。
毎月保険料は納めなければなりませんが、いざとなったときのメリットは大きいと言えます。
日本人は、この皆保険制度(全員が保険に加入しなければならないとする国のシステム)に満足しています。
外国人も3ヶ月を超えて日本に住んでいるは加入が義務付けられています。
加入の手続きをすると、1人に1枚保険証が交付されます。
病院に行く際には、この「健康保険証」を必ず持って行くようにします。
病院の受付に保険証を提示すると、かかった医療費の支払いが30%で済みます。
公的医療保険の種類と受けられる給付
日本の公的医療保険を大きく分けると、「社会保険(健康保険)」と「国民健康保険」があります。
「社会保険(健康保険」
加入する人:会社に勤務している人とその家族
(加入できない人は「国民健康保険」に加入)
「社会保険」に加入していない人全員
医療費の負担額かかった医療費の30%
(0歳~未就学児と70歳~の人 20%、75歳~の人10%)
毎月の保険料の支払い
給料から天引き
会社が支払う保険料の半額を負担してくれる
または口座引き落とし
毎月の支払い額本人の給料を基に計算
扶養人数は関係ない前年の所得を基に、扶養する家族の人数が増えると支払い額も増える
また病院にかかかる医療費以外にも、保険に加入していることにより、受けられる給付があります。
こうした受けられる給付は、「国民健康保険」に比べて「社会保険(健康保険)」のほうが、愕然とするほど多くなっています。
給付内容社会保険(健康保険)
国民健康保険
傷病手当金
(病気や怪我で連続して3日以上会社を休んだ場合)
休業4日目から標準報酬日額の3分の2を支給
出産手当金(
出産前42日~出産後56日までの間会社を休んだ場合)
標準報酬日額の3分の2を支給
出産一時金42万円の支給
(双子の場合は84万円)
入院による高額療養費
高額療養費が57,600円(収入によって異なる)を超える部分を支給
病院での食事代1食あたり260円を超える部分の支給
本人死亡の際の埋葬料付加金遺族に5万円の支給
「国保」(国民健康保険)、「社保」(社会保険(健康保険))の切り換え手続き
「国保」から「社保」、「社保」から「国保」に変わった場合、それぞれ切り換え手続きが必要です。
① 国民健康保険⇒社会保険(健康保険)への手続き
国民健康保険に加入していて、就職して社会保険になった場合、社会保険への加入手続きは会社が行ってくれます。
しかしこのとき国民健康保険の脱退手続きは、会社はやってくれないので、自分でおこなわなければなりません。
脱退手続きを行わない限り、国民健康保険の請求は止まりません。
国民健康保険の脱退手続きを行う場所は、住まいの市区町村窓口(国民健康保険課や保険年金課等)になります。
国民健康保険の脱退手続きに必要なもの
・今まで加入していた国民健康保険の保険証
・就職先で加入した健康保険の保険証
・本人確認書類(在留カードなど)
・印鑑(認印で構いません)
② 社会保険(健康保険)⇒国民健康保険への手続き
逆に社会保険(健康保険)に加入していた会社を退職した場合には、国民健康保険に加入しなければなりません。国民健康保険への加入手続きも、住まいの市区町村窓口で行います。
国民健康保険加入手続きに必要なもの
・「社会保険の資格喪失証明書」もしくは離職票や、退職した会社の健康保険証のコピーなど、退職した日が、確認できるもの。
・在留カード
・パスポート(在留資格が特定活動のかたは「指定書」も必要です)
・マイナンバーカードまたは通知カード
会社が社会保険の「資格喪失証明書」を発行してくれなかったり、届かなかったりした場合には、会社の連絡先を役所の職員に知らせて、「退職した日」の確認してもらってください。
退職した会社でもらった健康保険証(コピー)があれば、働いていた会社の「会社名」や「記号・番号」が分かるので、職員が健康保険組合や年金事務所へ問い合わせて、「退職日(資格喪失日)」を確認してもらうこともできます。